秩父45羽のレスキュー

◆実施日:2023年11月 15日

 

◆場所:埼玉県秩父市

 

◆鳥種と羽数:セキセイインコ43羽

       十姉妹2羽

 

◆理由:お世話にかかる費用の捻出が難しいため



◆経緯

2023年 10月

ご高齢の女性からご相談がありました。

屋外の鳥小屋で30羽のセキセイインコを飼っており、年金生活のため餌代の負担が大きくお世話を続けることが難しいため、手放しをご希望されました。

 

旦那様を亡くされた寂しさから4羽のセキセイインコを飼い始めたのがきっかけだそうです。

セキセイインコが長年にわたり繁殖を繰り返し、途中2羽の十姉妹を迎えたとのことです。

どのくらいのペースで繁殖してしまっているのか飼い主様を把握されていませんでしたが、繁殖制限のため事前に巣箱の撤去をお願いしました。

 

鳥小屋には冷暖房器具はなくまた、お住まいが秩父ということで、今後の厳しい寒さによる落鳥の懸念がありました。そのため、本格的に冷え込む前にレスキューを行うことにしました。

 


◆現場の視察

10月

羽数が非常に多いため、事前にレスキュー現場の視察を行いました。 


事前に30羽と飼い主様から聞いていましたが、実際は40羽を超える鳥たちが鳥小屋で暮らしていました。

飼い主様は体の自由がきかず、掃除が行えなかったため、そこら中に餌や羽・便が散らかり、積もっているような状況でした。

 鳥小屋の隣には犬舎がありましたが、犬舎内にも餌や羽が沢山入ってしまっていました。

 


ご飯はムキ餌が食べ放題、水は取り換えてはいたそうですが、食器を洗浄できていないため不衛生な状態でした。

 


鳥小屋前面の網に一部に大きな穴があり、穴を塞ぐように半月食器がかかっていましたが、食器がある状態でも完全に穴をふさげていません。

食器は網に引っかけているだけで固定されておらず、1つでも食器が外れてしまったら危ない状態でした。

逸走防止のため、穴を塞ぐ作業を行い現場視察を終えました。

 


◆レスキュー当日

11月中旬


鳥たちの捕獲と同時に個体識別のため、足環の装着も行いました。

鳥小屋内は狭くスタッフ2人入るのが限界でした。

鳥小屋は屋外にありますが、二重扉になっていません。

加えて鳥たちは人に慣れておらず、こちらの小さな動きに対してもバタバタと飛び回ってしまいました。

人やモノの出入りの際はタオルを使用し、扉の開閉を小さくして慎重に行いました。

 


鳥小屋内の様子です。

床面には餌やシードのむき殻、鳥たちの羽や便が第一関節が埋まるほど積もっていました。

巣箱・つぼ巣は1つずつ残っていました。残念ながら巣箱の中でセキセイインコが1羽なくなっていました。

亡くなったセキセイインコは疥癬の症状がでており、痩せていました。

飼い主様は巣箱の中まで様子を見ていないそうで、いつ頃亡くなってしまったのか分かりません。


◆レスキュー後の鳥の様子


レスキュー後は鳥たちの相性や健康状態に合わせ、ケージ・プラケに分けてお世話をしています。

写真の2羽(左:バララット、右:エスペランス)は嘴の変形により、スコップで掘るように食べていました。  

他にも足が悪く止まり木に止まれない、目が見えていないなどケージでの生活が難しい鳥たちはプラケで看護を行っています。

十姉妹の右京と左京はレスキュー前から仲良く過ごしていたので、2羽一緒のケージで生活しています。

レスキュー当時は右京の頬と尾脂腺付近に腫瘤がありましたが、切開しました。



検疫期間中に疥癬症の投薬治療と、途中マクロラブダスが検出されたため投薬治療を行いました。

残念ながら検疫期間中にセキセイインコ1羽が亡くなってしまいました。

検疫を終え施設の他の鳥たちと合流しましたが、まだまだ人に慣れておらず、みな緊張した面持ちです。

今回レスキューした鳥たちは過酷な環境下で生きてきた鳥たちです。45羽の内の1羽ではなく、誰かのパートナーとして穏やかな生活を送ってほしいなと思います。





※TSUBASAにおけるレスキューの定義

一般家庭からのやむを得ない事情での鳥の譲り受けを「お引き取り」

劣悪環境や遺棄、飼い主様の緊急入院などの緊急性のある、飼い主様からお世話代を頂けない譲り受けを「レスキュー」と呼び分けています。